【人事担当者向け】フレックス制の残業の扱いとは?導入するメリット・デメリットについて
フレックスタイム制は、従業員が始業・終業時刻を自由に調整できる働き方として、多くの企業で導入が進んでいます。
柔軟な制度ではありますが、「残業の扱い」や「時間外労働の管理」に関しては通常の勤務形態とは異なる点が特徴です。
本記事では、フレックスタイム制における残業の扱いをはじめ、企業が導入するメリット・デメリット、そして運用時に押さえておきたいポイントを解説します。
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目次
フレックスタイム制とは?
フレックスタイム制とは、一定期間内の総労働時間をあらかじめ定め、その範囲内で従業員が日々の始業・終業時刻を自由に決められる制度です。
多くの場合、清算期間と呼ばれる1か月程度の期間内で、法定労働時間の総枠を満たしていれば問題ありません。
この制度には、必ず勤務すべき時間帯である「コアタイム」を設けるケースと、完全に自由に出退勤できる「フルフレックス」の2種類があります。
フレックスタイム制の残業の考え方
フレックスタイム制における残業の考え方は、通常の固定時間制とは異なります。
原則として、1日単位ではなく清算期間全体で法定労働時間を超えたかどうかによって、時間外労働の有無が判断されます。
清算期間内で所定労働時間を超えなければ、日によって長時間働いたとしても直ちに残業とならない点が特徴です。
フレックスタイム制における残業代の扱い
フレックスタイム制であっても、残業代の支払い義務がなくなるわけではありません。
清算期間内における法定労働時間(原則1日8時間・週40時間相当)を超えた労働時間については、時間外労働として割増賃金を支払う必要があります。
また、深夜(22時~5時)の労働や、法定休日の労働についても、通常と同様に割増賃金の対象となります。
注意すべき点として、清算期間を1か月より長く設定している場合でも、1週間あたりの労働時間の上限規制や、時間外労働の上限規制は適用されるため、制度設計の段階で法令との整合性を十分に確認する必要があります。
フレックスタイム制を導入するメリット
ここからは、人事担当者向けにフレックスタイム制を導入するメリットをご紹介します。
採用力の向上につながる
働き方の多様化が進む中で、フレックスタイム制を導入している企業は、求職者に対して柔軟な働き方が可能な職場としてアピールしやすくなります。
特に育児・介護と仕事の両立を希望する求職者にとっては、大きな魅力となるでしょう。
生産性の向上が期待できる
従業員が自分の集中しやすい時間帯に合わせて働けるため、業務の効率化や生産性の向上が期待されます。
満員電車を避けた通勤や、時間帯に応じた業務配分が可能になることで、全体のパフォーマンスが安定しやすくなります。
ワークライフバランスの改善
プライベートの予定に合わせて勤務時間を調整できるため、従業員の満足度向上にもつながります。
結果として、離職率の低下や定着率の向上といった効果が見込まれます。
フレックスタイム制を導入するデメリット
一方で、フレックスタイム制には、人事担当者にとって注意すべき点も存在します。
労働時間の管理が複雑になりやすい
日々の勤務時間が固定されないフレックスタイム制は、労働時間の把握や集計が複雑になりがちです。
勤怠管理システムの導入や運用ルールの整備が不十分な場合、集計ミスや未払い残業といったリスクが高まります。
部署内での連携不足のリスク
出退勤時間がばらつくことで、部署内のコミュニケーションが取りづらくなる場合があります。
会議時間の調整が難しくなるなど、業務連携に影響が出る可能性も考慮が必要です。
制度理解が不十分だとトラブルになりやすい
残業の考え方や清算期間の仕組みについて、従業員側の理解が不十分な場合、「働いたのに残業代が出ない」といった認識のズレが生じやすくなります。
導入時には事前に丁寧な説明を行い、従業員の理解を得ることが欠かせません。
フレックスタイム制の導入時に企業が押さえておきたいポイント
最後にフレックスタイム制の導入時に人事担当者が押さえるべきポイントをお伝えします。
まず重要なのは、就業規則・労働契約書への明確な制度規定です。清算期間、コアタイムの有無、標準労働時間、残業の扱いなどを明確に記しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
次に、勤怠管理体制の構築も欠かせません。打刻ルールの徹底や、管理者による定期的なチェックを行い、長時間労働が常態化しないようにする必要があります。
また、制度を導入した後でも、定期的な運用の見直しを行いましょう。
制度と実態に差が生まれていないか、従業員に過度な負担がかかっていないかを確認し、必要に応じてルールを修正していく柔軟性が、安定した運用に繋がります。
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まとめ
フレックスタイム制は、働き方の柔軟性を高め、人材確保や生産性向上につながる一方で、残業の扱いや労働時間管理には十分な配慮が求められる制度です。
清算期間を基準とした残業の扱いや、割増賃金の取り扱いを正しく理解したうえで、就業規則の整備などを進めることが重要です。
制度を正しく把握し、自社の業務体制に合わせた設計と運用を行うことで、フレックスタイム制は上手く機能していくと考えられます。
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