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年金改革法案で会社員の負担が増える?厚生年金流用の実態とは

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2025年5月30日、衆議院において自民・公明・立憲民主の3党などの賛成多数で「年金改革法案」が可決されました。

本法案は国民年金(基礎年金)の底上げを目的としていますが、「会社員の負担が増える」「将来の受給額が減る可能性がある」といった懸念の声が多く上がっています。

まじめに働き、税や保険料を納めている現役世代にとって、さらなる負担増や受給額減は大きな不安材料です。

本記事では、今回の年金改革法案が私たちの働き方や将来の生活にどのような影響を与えるのか、制度の背景とともに解説します。


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年金改革法案とは

年金改革法案とは、2025年5月16日に閣議決定・国会に提出された「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化法案」のことです。

パートタイム労働者や在職中の高齢者など、多様な働き方への対応を目的に、以下のような改正が盛り込まれています。

  • ・厚生年金の加入対象を拡大(「年収106万円の壁」撤廃)
  • ・在職老齢年金の減額基準を月62万円に緩和
  • ・厚生年金の積立金を基礎年金に活用(底上げ策)
  • ・遺族年金の見直しやiDeCoの拡充

これらの改正により、高齢期の生活の安定と、制度の持続可能性を両立することが狙いとされています。

日本の年金制度についてもチェック

制度改正の背景を理解するには、現在の年金制度の基本構造を知っておくことが重要です。

年金制度の概要

日本の公的年金制度は「二階建て構造」となっており、全員が加入する国民年金(基礎年金)に加え、会社員や公務員などは厚生年金にも加入します。

  • ・自営業者・学生・無職者は国民年金に加入(年間約21万円)
  • ・会社員は、会社と保険料を折半して厚生年金に加入
  • ・会社員の配偶者(年収130万円未満)は、第3号被保険者として国民年金に無償加入可能

将来的には、国民年金加入者は年間約80万円の基礎年金を受け取れます。会社員はさらに、現役時代の給与に応じた厚生年金(報酬比例部分)を受給できます。

日本の国民年金が下がっていく理由

国民年金の給付額が今後減少していく主な要因は、少子高齢化による支え手不足です。

年金制度は現役世代の保険料で高齢者を支える仕組みのため、加入者が減り受給者が増えると、支給額の引き下げ圧力が強まります。

さらに、物価や賃金動向に応じて年金額を自動調整する「マクロ経済スライド」の影響も、実質的な給付減につながっています。

会社員の負担増!保険料の上限が165万円に

今回の法案では、「厚生年金の保険料負担が増える」点が大きな注目を集めています。具体的な変更内容を見ていきましょう。

厚生年金の負担額

厚生年金保険料は、給与の18.3%を会社と労働者が折半して納める仕組みです。

  • ・現在の年間保険料(個人負担)は9.6万円~71万円程度
  • ・折半分を含めると19万円~143万円程度

今回の法案では、以下のような変更が検討されています。

  • ・個人負担の上限:82万円
  • ・会社負担を含む合計:165万円

(※協会けんぽ東京の例、賞与分を除く)

さらに、保険料算出の基準となる「標準報酬月額」の上限が、3年かけて65万円から75万円へと段階的に引き上げられます。

保険料の上限が上がる理由

保険料の上限引き上げには、以下の目的があります。

  • ・保険料収入を安定させ、制度の収支バランスを保つため
  • ・積立金を増やし、将来的な給付財源を確保するため
  • ・所得の再分配機能を強化するため

上限の引き上げは実質的な増税になるのか

上限引き上げにより、高収入層では年間約11万円の負担増となる見込みです。

一方で、見込まれる年金受給額の増加は以下の通りです。

  • ・国民年金:年約1.5万円の増額
  • ・厚生年金:年約5.3万円の増額

つまり、負担と給付のバランスは所得層によって大きく異なります。受給額が増える人もいるため、一概に「増税」とは言い切れないものの、現役世代の可処分所得が減ることに対する不満は根強くあります。

また、上記はあくまで試算にすぎず、今後の経済状況によって受給額は変動する可能性があります。

厚生年金の財源が国民年金の不足分に充てられている現実

日本の年金制度は、国民年金(基礎年金)と厚生年金からなる「二階建て構造」です。

本来は別々に運用されるべき制度ですが、現状では厚生年金の一部が国民年金の補填に使われている実態があります。

これは「基礎年金拠出金制度」と呼ばれる仕組みによるもので、厚生年金の保険料の一部を国民年金に回すことで、専業主婦や自営業者などの年金を支えています。

この仕組みによって、厚生年金加入者にとっては「自分の将来のために払った保険料が、他人の年金に使われている」という構図になり、負担の不公平さが問題視されています。

さらに、今回の法案には現役世代が積み立てた厚生年金の資金を国民年金に「流用」するという施策が盛り込まれており、特に働く世代からの強い反発を招いています。


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まとめ

年金制度は、すべての働く人にとって避けては通れないテーマです。

今回の改革によって、今後はさらに保険料の負担が増す可能性があり、受給額の見通しも変動することが予想されます。

制度の変更に無関心でいることはリスクにもなり得ます。自身の収入や将来設計にどのような影響があるのか、今後の動向を注視していきましょう。

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ライター紹介

九条辰季

フリーライター

「自分らしく生きる」をモットーに、Webマーケティング記事からシナリオまで幅広く執筆する多趣味、雑食系ライターです。 自身の経験をもとに、みなさんが彩りあるキャリアプランを描くお手伝いができればと思います!
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