103万円の壁撤廃でどうなる?主婦や家庭に与える影響と今後の働き方
国民民主党が選挙で掲げ、多くの国民から注目を受けている政策が「103万円の壁の撤廃」です。
103万円の壁が撤廃されると手取りが増えると言われていますが、同時に問題点も指摘されています。
これから、私たちの働き方はどうなっていくのでしょうか?
本記事では103万円の壁と、撤廃されると起こる効果について解説していきます。
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目次
いまさら聞けない「103万円の壁」と国民民主党の政策
「103万円の壁」は所得税がかかる年収の線引きとなる基準額です。
一方、「この壁を撤廃し、基準を引き上げることで手取りを増やそう」というのが国民民主党の掲げる政策の1つです。
以下では、それぞれについて詳しく解説していきます。
「103万円の壁」とは?
そもそも「103万円の壁」とは、年収が103万円以上になると所得税が発生する制度がもとになっている言葉です。
特に、親や配偶者の扶養の下で働いている学生や主婦(夫)は、103万円を超えると扶養者の所得税控除にも影響することがあります。
このことから、税金の影響を受けたくなければ、103万円以下になるように調整して働かなければならず、もっと稼ぎたい人にとってはこの「壁」が懸念材料になっていました。
特に、物価高が深刻な昨今では、生活のために手取りを増やしたい人にとって大きな障害であり、問題視されています。
また、最低賃金が上昇しているのにこの「103万円の壁」はいままで動かなかったため、賃金は上がっても労働時間が減るといった現象も起こっています。
国民民主党の政策とは
上記のような問題を受け、国民民主党は政策に「103万円の壁を撤廃して178万円に引き上げる」ことを掲げ、2024年10月におこなわれた衆議院選挙で多くの議席を獲得しました。
この178万円は、1995年からの最低賃金の上昇率1.73倍に基づいたものとなっています。
国民民主党は今回の選挙で28議席を獲得していますが、この政策が通せるかどうかで真価が問われるでしょう。
103万円の壁が撤廃されるメリットとデメリット
103万円の壁が撤廃されると、労働者にとってはメリットばかりのように思えますが、中には損をする人もいます。
ここからは、103万円の壁が撤廃されるとどうなるのか紹介するので、参考にしてこれからの働き方を考えてみてください。
メリット
103万円の壁が撤廃されて178万円になると、単純に所得税の控除内で稼げる額が増えるので、手取りを増やすことが可能です。
手取りが増えれば物価高にも対応でき、家計の助けになるでしょう。
国民民主党の試算では、年収200万円の人で8万6,000円の減税が見込まれています。
また、パートやアルバイトとして働く人の労働時間が増えるので、企業や人材不足が解消されるなど、社会にとっても大きな効果が期待できます。
デメリット
注意しておきたいのは、手取りが増えると103万円以外の「106万円の壁」「130万円の壁」の影響で手取りの年収が減る可能性があるということです。
これらの壁がどのような制度なのか、以下で詳しく解説していきます。
106万円の壁
106万円の壁とは、「年収106万円以上」「従業員51人以上」「週20時間以上の労働」の3つの要件すべてに当てはまると、社会保険への加入義務が発生するというものです。
社会保険に加入すると、将来受け取れる年金が増えたり傷病手当金、出産手当金などの手当が受けられるものの、厚生年金や健康保険料が引かれるため、手取りが下がる恐れがあります。
たとえば、106万円ぴったりの収入で壁を超えた場合、手取りは以下のようになります。
住民税+雇用保険料 | 約1.1万円 |
厚生年金+健康保険 | 約15万円 |
合計 | 89万9324円 |
130万円の壁
130万円の壁を超えると、「従業員50人以下の企業」で働く人でも、扶養を外れて国民年金や国民健康保険の保険料の支払いが発生します。
将来もらえる年金額は増えるかもしれませんが、現状では手取り額の増加をあまり実感できない可能性があります。
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まとめ
「103万円の壁」の撤廃は働く人にとって嬉しいニュースですが、まだまだ課題はたくさんあります。
ただ今までよりも多く稼ぐというだけでは引かれる額も大きく、恩恵を感じにくい人もいるかもしれません。
そのため、壁の撤廃後も政策や制度の動きを見つつ、納得できる働き方を考えていきましょう。