「転勤、絶対無理!」でも拒否できる?法律で認められる条件とは

「転勤を命じられたけど、絶対に無理!」そんな状況に直面したことはありませんか?
家族の状況や健康の問題、生活環境の変化などを考えると、転勤を拒否したい人も多いでしょう。しかし、転勤を拒否すると「クビになるのでは」「減給されるのでは」と不安になりますよね。
そこで、本記事では転勤を拒否するリスクや、法律で認められる条件について解説します。
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目次
そもそも会社の転勤命令は拒否できるのか?
会社の転勤命令は、一般的には労働契約や就業規則に基づいておこなわれるため、それらに記載がある場合、原則として拒否するのは難しいと言えます。
多くの企業では、雇用契約を結ぶ際に「就業場所・業務の変更の範囲」を明示しているので、そこに勤務地の変更があることが記載されていれば、労働者は転勤を受け入れなければなりません。
しかし、 すべての転勤命令が合法とは限りません 。過去の裁判例では、転勤が不当と判断されたケースもあります。
転勤を拒否できるかどうかは、会社の就業規則や転勤命令の理由によって変わってきます。
望まない転勤命令で退職を検討する人は多い

望まない転勤命令で退職を検討する人は多く、リクルートワークス研究所の調査では、6割以上の人が「退職を考える」「どちらかといえば退職を考える」と回答しました。
労働者にとって転勤拒否はハードルが高く、拒否できたとしてもリスクがあるため、退職を検討する人が多いようです。
転勤を拒否できる具体的な4つのケース
法律上、以下のような状況では転勤を拒否できる可能性があります。
- ① 就業規則に「転勤なし」と記載されている場合
- ② 育児・介護・家庭の事情がある場合
- ③ 健康上の問題がある場合
- ④ 不当な転勤命令のケース
それぞれのケースについて詳しく解説するので、転勤を拒否したい人は参考にしてみてください。
① 就業規則に「転勤なし」と記載されている場合
会社の就業規則や労働契約書に「転勤なし」と明記されている場合、 会社側が転勤を強制することはできません 。
特に、地域限定の雇用契約を結んでいる場合は、勤務地変更の権限が会社にないため、転勤命令は無効となる可能性があります。
② 育児・介護・家庭の事情がある場合
家庭の事情によっては、転勤を拒否できることがあります。
例えば、子育て中の親が転勤により育児が困難になるケースでは、転勤を回避できる場合があります。
また、親や家族の介護を行っている場合、勤務地の変更が困難であると判断されるかもしれません。
ただし、上記のような家庭の事情による転勤拒否は、転勤によって著しく生活に不利益を被るケースによって認められる特例です。
そのため、ただ「家族が心配だから」といった個人的な事情で拒否するのは難しいでしょう。
③ 健康上の問題がある場合
持病や精神的な問題を抱えている場合、新しい勤務地での勤務が難しくなる可能性があります。
持病により通院が必要だったり、転勤によってストレスが増大し、健康を害する可能性があったりすると、無理な転勤は取り返しのつかない症状を引き起こすかもしれません。
こうした場合は、医師の診断書を提出して企業と相談すれば、転勤を回避できるでしょう。
④ 不当な転勤命令のケース
転勤命令が会社側の嫌がらせや報復人事の一環として行われた場合、不当な転勤と判断されることがあります。
例えば、労働者を自主退職に追い込むための転勤命令や、家庭の事情を無視して転勤命令を出し、それを労働者が拒否した場合に解雇されるようなケースは、不当解雇に該当する可能性が高いでしょう。
このような場合は、転勤の正当性を問いただし、会社と交渉する余地があります。
転勤を拒否するとどうなる?
転勤を拒否した場合、以下のようなリスクが考えられます。
- 解雇される可能性がある
- 降格・減給などのペナルティがある
それぞれ具体的にどのようなことが起こるのか、以下で見ていきましょう。
解雇される可能性がある
転勤を拒否しただけで解雇されるケースは稀ですが、就業規則や契約に転勤の規定がある場合は「業務命令違反」として会社が解雇を検討する可能性はあります。
ただし、 解雇が不当である場合、裁判で争うことも可能です 。
例えば、前述のように就業規則や労働契約に転勤の定めがないにも関わらず、転勤拒否を理由に解雇された場合、裁判では解雇が不当だと認められるかもしれません。
降格・減給などのペナルティがある
転勤を拒否したことにより、就業規則に基づいて業務命令違反だと会社が判断すれば、降格や減給といった懲戒処分を受けるケースもあります。
たとえ懲戒処分を受けなくても、会社からの評価が大幅に下がることは覚悟しなければなりません。
特に、管理職など昇進の道を考えている場合、評価が大きく下がると道が閉ざされる可能性があるので注意しましょう。
会社とトラブルを避けながら転勤を回避する方法
転勤を回避できたとしても、申し出方や会社の対応によっては自分の評価が傷つき、その後会社に居づらくなる危険性もあります。
自身に降りかかるリスクを避けるためには、次のような行動が重要です。
- ・会社としっかり話し合う
- ・書面で正式に申し出る
- ・労働組合や弁護士に相談する
まずは、感情的にならず冷静に会社と話し合いましょう。具体的な事情を説明して会社側と交渉することで、部署異動や在宅勤務など別の選択肢を用意してもらえるかもしれません。
また、口頭だけでなく、医師の診断書のような書面で転勤を拒否する理由を伝えることで説得力が上がります。
もしも会社が強引に転勤を進めるような場合は、労働組合や弁護士に相談するのも一つの方法です。法的な視点から適切なアドバイスを受けることで、最善の策を選びやすくなるでしょう。
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転勤拒否する前に不利にならないか調べてみよう
転勤命令の拒否は基本的に難しいといえますが、一部法律で認められるケースもあります。
ただし、転勤拒否できても企業との関係が悪化すればその後のキャリアに悪影響が出るおそれもあるため、交渉は慎重に行いましょう。
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